活動報告

副大臣公務

ロシアの東京五輪出場をめぐる問題(文部科学副大臣1年間の活動を振り返る3)

ロシアの東京五輪出場をめぐる問題

スポーツ大国ロシアは東京オリパラに参加できるのか。この問題は世界中の関心を集めた。この件については、WADA の決定が大きな影響力を持っている。WADA
の常任委員会が制裁措置として国際競技大会等への参加を認めない決定をした場合、IOC 等はその決定に従うとの取り決めがあるためだ。

<背景>

・ 2015 年11 月、ロシアにおける組織的なドーピング等を踏まえ、WADA がロシアのドーピング防止機関(RUSADA)に対する資格停止処分を賦課。
・ 2018 年9 月、WADA は、ロシア側がモスクワの分析機関の真正なデータ(組織的なドーピングに関与したアスリート等を特定するために必要なもの)を提出すること等を条件に、RUSADA の資格停止処分を解除。
・ 2019 年9 月、WADA の調査部門がロシア政府から提出されたデータを検証したところ、提出前の改変・削除等が確認されたため、WADA のコンプライアンス評価委員会がRUSADA に対する資格停止処分や制裁措置等に関する手続きを開始。

結果として、2019 年12 月、WADA 常任理事会は、RUSADA を資格停止処分とし、
効力が発生する日から4年間、ロシア選手団としてのオリンピック・パラリンピック、世界選手権等への参加を認めず、厳格な条件を満たしたロシア人選手のみ
を個人資格で参加を認めること等を決定した。

昨年12月のWADA 常任理事会は事前にロシア問題での決定が行われることが知られていたこと
もあって、会場となったスイス・ローザンヌのホテルには多くの報道陣が詰めかけていた。
(写真は、常任理事会の結果について現地で日本人記者にブリーフィングを行う様子と配信された記
事)

ロシア問題(続き)

私が常任理事となって以降、WADAとしてはこの問題にどう対処するかが焦眉の課題であり、大会ホスト国としての日本のスタンスにも注目が集まる中で政府代表として対応してきた。途中過程については詳細に触れることが出来ないが、私は、「東京オリパラを世界一の大会に」との一心で、終始「筋を通す」ことを貫いてきた。

その後RUSADAが不服申立てを行い、最終的な決定はスポーツ仲裁裁判所(CAS)の審理を経て行われることになったが、私の関心はすでにその先にあった。

翌年1月に開催された常任理事会では、制裁措置が確定後、当該制裁措置が混乱なく着実に実施されることの重要性を訴えた。また、東京オリパラを見据え、IOC等の関係団体と連携し、WADAにおいて、今後、個人資格で参加を認める具体的な条件や手続き等の検討を早急に進めていくことを提案して合意が得られた。

東京オリパラで混乱が起きないよう迅速な決着を求めて続けてきたが、その後東京オリパラの一年延期が決定されたことはご承知の通りである。

国際機関を舞台に、東京オリパラの成功という国益のために活動できたのは貴重な経験である。

今年5月の常任理事会は、WADA の本部があるカナダ・モントリオールで開催される予定であったが、
新型コロナウイルス感染症の影響で、WEB 会議形式で行われた。
画面越しではあったが、なじみの顔ぶれが並んでいるのを見て安堵した。
会議は、お互いの国における新型コロナウイルス感染症の状況を気遣いつつ進められた

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